タバコ休めみたいな道中

休んでいる間も命を削るのはまるでタバコのよう

旅ずきになったきっかけ

僕は小さい頃から母の教育方針に大きな影響を受けてきた。

 

母はとにかく外に出て、実際に体験することを大切にしてたように思える。

 

母は暇を見つけては家族旅行を計画し、実行までがとにかく早かった。

 

僕が初めて海外に行くときも同様である。

 

父の最後の海外出張に便乗して、計画を練り始めていた。

 

僕にとって初めての海外先はインド。

 

そう、インドだった。

 

これが僕を形成する大事なきっかけになる。

 

インドでは毎日、カレーを食べ、寺院の観光をしたりと内容をあまり覚えていないほど関心がないことが続いた。

 

道中での出来事でよく覚えていることがある。

 

ある観光帰りのこと。

ガイドの運転する車に乗っていると、窓の外から雑にガイドブックが投げ込まれた。

 

日本の生活の中では味わったことのない驚きで僕ら家族は戸惑っていた。

 

ガイドが一言

「外に捨てて。窓閉めるよ。」

 

言われた通り外に捨てて大人しくしていた。

 

窓の向こうから小学校低学年ほどの子供の兄弟がこちらをジッと見ていた。

 

彼らは

ストーリーチルドレン

 

自分より歳下の子供が道で稼ごうとしているのだ。

 

今でもインドと言えば、その子達の目を思い出す。

 

知らないことやテレビの情報だけならすぐに忘れられたであろう。

 

実際に見ることの大切さを感じた。

全く忘れることが出来ないのだ。

 

そして、ガイドさんの一言だ。

「インドにはあんな子がたくさんいる。両親が死んでたり、病気で働かなかったり。ただ、僕は何もしてやれない。」

 

車内の空気を言葉にしたいが、適切な言葉が浮かばない。

 

これは体験しないとわからないかもしれない。

 

僕にとってインドは日本人が豊かな国の人である認識をさせられた僕の生き方の原点かもしれない。

 

百聞は一見にしかずというが、全く持ってそうだと思う。

 

車内の空気感の表現を探すように僕は旅をしているように思う。

 

インドに行ったことこそが、僕が旅ずきになる1番のきっかけであり、理由でもある。